理由なく走り始めたら、
それが彼女の人生になる。

超長距離を走りぬく、ライター Emma Nakajimaさん

走ること、達成すること、発信すること。エマさんは、自分に、自分の行動に真摯に向き合います。普通の女性がどんどん速くなっていく。どんどん強くなっていく。しなやかに面白がって時々のゴールを達成する。「自分次第で何でもできる、それってとても楽しいことだと思います。」とエマさんは楽しそうに話します。


走るのが好き、ということ

エマさんは京都の本当の街中で生まれ育ちます。小学校で、自分のことをエマちゃん、ではなくてエマはん、と呼ばれるような、京都の中の京都。高校までを京都で過ごし、大学は大阪の芸術系大学へ。ここでは広告を専攻し、ダンスに取り組みます。就職は東京で、職務はマーケティング。そして社会人になって数年後に走り始めます。ささいなきっかけはあったかもしれませんが、特段の理由はなく。そこから走ることがエマさんの人生の大きな一部分となっていきます。そして走る距離も長く、長くなっていきます。数キロからスタートして、フルマラソンの距離、そして160キロのレースへ、更には400キロのレースや海外の山を1ヶ月近く歩くというように。

エマさんは走ることがただ好きだと言います。「いや、もうね、走るのが好きなんです」「映画のフォレストガンプ好きなんですけど、ああいう感じですね、ただただ走っていたらアメリカ横断しちゃったみたいな」「私も、ただ好きなだけ走りたいだけなんです」

「昨年の夏、甲府から東京まで走って帰ったんですけど、それもそっちに泊っていた時にグーグルマップを見ていて、走って帰れそうだなって思って、それで次の日走って帰りました。」と笑いながら話します。


走りながら取材する、アウトドアライター兼PRプランナー

「いわゆる二足のわらじで、異なる2つのお仕事をしていますが、それによって相乗効果があると思っています。好きを仕事にしても、楽しいことばかりではありません。

でも、しばしばどちらにも良い気付きがあり、幸いにも充実した仕事ができています。」「お金だけでない、大事なモノや時間、経験をたくさん得られていると思っています。」

フリーランスとして働くエマさんには、自分が産み出したお金、という意識があります。そんなお金で過酷なレースに出る。だから無駄にはできない。働くことも走ることもつながっている、そしてそれらに対してエマさんは正面から向き合います。「好きなことを突き詰めるのが好き」とエマさんは話します。好きなこと、大切なことだからおろそかにできない。高いテンションを持って仕事にも打ち込んでいきます。


好きなひと。生き方の指針。伝えるということ。

【おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きる】これはエマさんが敬愛する樹木希林さんのことばです。エマさんは将来の展望を持ちながらそれらを達成していく、というような生き方をするタイプではないと話します。やりたいことはたくさんある、だけど広く浅くは自分のチョイスではない。目の前のことに集中し、何かを突き詰めたと感じたら次へ行く、という感じで。そんなエマさんですが、こういう風になりたいという人物像を持っていて、それが冒頭の言葉になります。「自然体で、だけどちゃんと自分の意思をもっている、みたいな。大人でかっこいい女性になりたいと思っているんです。」「ユーモアがあって、芯があって、どんと構えている感じがある樹木希林さんのように。」

エマさんは、自身は平凡なところから出発していると話します。なんの英才教育も受けておらず、ごく普通の家庭に育ったと。体育の成績も3。でもそんな自分が海外で国境を越えるようなレースに出たり、1ヶ月も山を歩いたりしている。そんな自分だからこそ伝えられることがあるとエマさんは思っています。「自分次第で見える景色がうんと変わるということを伝えられることが嬉しいですね。」「自分が動くと世界が変わる感じが面白くて、だからどんどん行動するようになりました。」こういった自分自身のポジティブな変化を伝えたい、という思いが、エマさんの行動のモチベーションになっています。


エマさんから感じるのは誠実さです。自分が決めた事柄に対して誠実になる。その強い誠実さが長い距離を走りきる秘密なのだと思います。エマさんは示します。自分次第で何でも達成できる、と。自身への誠実さによって実際に達成してきたエマさんがそう示してくれます。


Profile

Emma Nakajimaさん

アウトドアライター / PRプランナー

三度の飯も山も好き。テント泊縦走から雪山登山まで1年を通じて山に通う。 趣味が高じてライターとなり、登山やキャンプなどのアウトドアアクティビティ、トレイルランニングなどの取材・執筆をメインに、国内外の長距離レースにも出場している。 ヨーロッパ・ピレネー山脈1000kmのひとり旅をはじめ、国内のロングトレイルも踏破。もっぱら長く歩くのが好き。特技は走りながら取材すること。