文化服装学院との共同企画について
Collaboration with Bunka Running Club
TANNUKIでは日曜の夜なんかにお酒も飲みながらブランドの将来についての話をすることがあります。その中で、何かランニングシーンに貢献できないかというトピックで話をしていた時に出てきたアイデアが「文化服装学院との共同製品開発」です。
10代後半や20代前半の年齢の人で楽しんでランニングをしている人がそんなに多くないような気がしていました。部活なんかでやや強制的に走らされたというような記憶もあったりして、学生時代が終わると一切走るのをやめてしまう、その後30代や40代になって走る楽しさを再認識して再びランニングを開始する人は結構いるような感じもしますが。
若い人たちにもランニングの楽しさを知ってもらいたい、そしてランニングシーンにも何らかの価値を提供したい、という思いが今回の取り組みのベースとなりました。ファッション系でもちろん文化系の、一見ランニングをする人なんかあんまりいないのではと思われるような服飾専門学校、そんな中で世界的な人材も多く輩出している文化服装学院とランニングを軸とした取り組みを行うことには新たな価値を生み出せる可能性があると思い、またランニングに時として欠けてしまうファッションの要素に関しても若い彼らの力を借りて新しい表現が出来たらという考えもありました。
丁度TANNUKIメンバーの中に文化服装学院の卒業生がいまして、その繋がりから学校側にコンタクトをとることができました。その後、本当に素早いスピードで、ある一人の先生が担当として立候補してくれます。考えを伝え、共感してもらい、「文化服装学院ランニングクラブ」のベースのイメージが共有されました。そこから参加してくれる学生を募ります。この時点では参加希望者ゼロ、という可能性もイメージにはあったのですが、担当の先生の熱意もあり、3名の学生がプロジェクトに参加してくれることになりました。それが2022年の7月のことです。
以下は、メンバーとの最初の打ち合わせで説明したプロジェクトの概要です。
“ランニングは、最も原始的であり、最も多くの人が行っているスポーツです。また、ランナーのファッションやコミュニティ、チャンレンジにまつわるストーリーなど、カルチャーとしての拡がりも見せています。
企画の第一段階としては、メンバーとなった学生の皆さんにランニングというスポーツ/カルチャーを実際にグループランニングという形で体験してもらい、その奥深さを理解してもらえたらと思っています。学生時代に強制的に走らされた、などの苦しいランニングではない、美しく楽しいランニングを知ってもらえたらと思っています。
第二段階として、学生の皆さんが持ち合わせている感性の部分や、現在学んでいるファッション要素を加えたランニングウェアの開発をTANNUKIの企画チームと共に行っていけたらと思っています。
学生の皆さんには、体験を出発点としてのゼロからものづくり、製品化から流通まで、マーケティング活動、のすべてのプロセスを実際に見て、参加して、学んでいただけると思っています。“
実際に一緒にランニングをしながら、というところ、そして感性と融合させる、というところを特徴として、そこから何らかの新しい価値を生み出すことをプロジェクトの目的にしました。
その後、企画の方向性、デザインアイデア、生地選定、カラー選定、プロトサンプル作成という流れでプロジェクトは進んでいきます。それぞれのタイミングの際には基本的に実際に集まり、プレゼンテーション及びディスカッション→グループランニング→ビールなど飲みながら更にディスカッションという当日の流れで企画を進めていきました。1つの製品を作り上げるのに対して、ゆっくりとゆっくりと、実際のランニングを交えながら、話し合いをしながら企画を進めていきました。
プロトサンプルが出来上がって、みんなでチェックして、ボディカラーとプリントカラーを決めて、というタイミングで一期生の学生の皆さんは卒業(2023年3月)ということになりましたが、その後ももちろんプロジェクトは進みまして、ついに最終製品として完成に至りました。製品の発売は文化服装学院での大きなイベントである文化祭の初日の2023年11月2日(木)となりました。
一期生とは卒業後も連絡を取り合っておりグループランニングなんかにも参加してくれています。その内の一人はランニングとの取り組みも深め、トレイルランニングの大会に出場するまでになりました。これはとてもうれしいことで、既にひとつプロジェクトの成功と言えるのではないかと思っています。
2023年の4月からは新たな期に入ったのですが、正式に文化服装学院の同好会として「文化ランニングクラブ」が学校から承認されることになりました。また二期生の募集においては20名近い学生が応募してくれ、また一緒に走り始めています。
ぜひ今後の製品企画も楽しみにしていただければと思います。