速いキャプテンがチームを速くする
ランナー 西木浩司さん
10/14(Thu)
気温:20℃ 湿度:69% 風:北西3m 天気:曇り
✓18:45~ main menu
3000m(3’00″/km) + 2000m(3’00″/km)
R1200m (7.5′)
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3000m 9:06(3’00″5 – 3’03″2 – 3’02″4) Ave3’02″/km
2000m 6:08(3’03″8 – 3’04″9) Ave3’04″/km
✓19:45~ sub menu
12000m変化走(Ave3’40”)
2000m(3’35″/km) + 1000m(3’50″/km) ×4
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12000m 43:25(3’37″/km)
38-35-48 – 35-35-49 – 35-35-45 – 35-36-14
ある日の夜の練習メニュー。
西木さんのチームのインスタグラムはこんな記述で始まることが多いです。考え抜かれた速くなるためのメニューとその結果。自分のためのメニューだけでなく、チームメイトのメニューも考えます。
「自分一人で速くなることは容易い。チームメンバー全員で速くなることを目指しています」
メンバー全員で福岡国際マラソン(2019年までの)参加標準記録(2時間35分以内)の突破を目指す、nrc代表、西木さんのお話です。
ランニングとの関わり合い方
「自分の場合、楽しむ事は二の次三の次。第一は、圧倒的に速くなりたいので、日々アスリート並みの走り込みと(多い時で月間800km)、ハードなポイント練習を行っています」
現在のランニングの取り組みについて話してくれた西木さん。
高校まではサッカー一筋、「年に3日しか休みがない」強豪校でサッカーを続けました。高校3年時には福井県選抜に選ばれ、埼玉国体に出場しています。そして今現在も、ランニングをメインの活動としながら社会人サッカーチームにも所属しています。
そもそもランニングを始めたきっかけは、社会人サッカーをやる上で、体力の衰えを感じたから。
「学生サッカーと違い、社会人サッカーともなればモチベーションは様々。勝ちにこだわるメンバーもいれば、楽しみを重視するメンバーもいる、その中でも私は勝ちにこだわりたいが為にランニングも始め、その当時キャプテンだったこともあり、メンバーを引っ張っていく意味でもトレーニングを欠かしませんでした。しかし、先程言ったようにモチベーションは様々、いくら私が頑張ったところで1人がサボれば失点に繋がり、負けることだってある。そのジレンマをずっと抱えていました」
「努力する事とか、メンタル的なところはどのスポーツも共通する部分だと思いますが、私個人的にはサッカーとランニングは全く別物です。団体競技のサッカーと、個人競技のランニング。サッカーは”個”が強くても勝てないけど、ランニングは”個”が全て。社会人サッカーで抱えていたジレンマを解消させてくれたのがランニングです。ランニングには他人に左右されず自分の頑張りがタイムとして表れる単純明快な魅力があり、そこに取りつかれ、今に至ります」
2018年5月から本格的にランニングを始めます。nishiki run club(ニシキランクラブ)という名前を付けて。メンバーたった一人のころからその名前で活動を開始しました。
現在フルマラソンで2時間28分の記録を持つ西木さん、今後、更なる記録の向上を目指しています。「フルマラソンを2時間20分以内で走って、東京マラソンのエリート枠に入ること、これが今の大きな目標です」
そこをクリアした後には、ウルトラマラソンへの取り組みを考えています。そしてウルトラマラソンの足ができたならトレイルランニングにも応用できるはずと話してくれました。将来的には、トレイルの世界で日本のトップ選手とレースで走ってみたいとのことです。
「フルマラソンを2時間20分で走るトレイルランナーはそこまで多くはないはず、だから自分がそのレベルに到達したときにはトレイルの世界でも戦っていけるのではないか、と考えています」
スタイル
西木さんはただ速いだけではありません。
スタイルにもこだわります。TANNUKIのお取引先の一つ、福井市のThe Gate Sporting Clubのショップマネージャーに、西木さんにブランドサイトのネイバーズページに出てもらうことをお伝えしたところ、「西木さんは福井県で最も高いレベルで速さとかっこ良さを兼ね備えたランナーですよ」と教えてくれました。
洋服好きのお母さんの影響もあり、小さい頃からファッションには興味を持っていました。学校を卒業後、職種はいくつか変わりながらもずっとファッションに関わる仕事をされています。
「服好きが高じて、誰かと被る既製品が嫌で、1着だけの完全フルオーダーメイドのウェアを作ってSNSに投稿するようになりました」
それが現在のチームメイトの目に留まり、一緒に走るようになったというエピソードも紹介してくれました。
ランニングクラブについても、競技のパフォーマンスだけを追い求めるクラブではなく、ファッションや流行にも敏感で、今までの陸上やマラソンのイメージを覆すようなチームを目指しているとのこと。
「単純な競技者の集まりにはしたくないんです。スタイルもあって、どこかに遊びもあって、だけど結果も出す、そんなチームを目指していきたいんです」
チーム nrc
西木さんはただ速いだけではありません。
チーム全員での速さを追い求めます。チームメンバーは現在11人。全員が陸上未経験者で、全員がフルマラソンで2時間35分を切ることを目標としています(現在は西木さん含めて2名が達成)。
「全国見てもそんなチーム、なかなかないと思います、そんなところを目指しているチームは」
メンバー選出の際は、一人一人と面談を行い、本気で2時間35分を切るための取り組みが出来るのかどうか意思確認をします。思いが共有でき、熱い気持ちのあるメンバーのみが加入します。
「nrcでは、私がみんなのメニューを考え、そのメニューを私が引っ張り、走り終わったらその結果について話し合い、次の練習に繋げるなど、キャプテンでありながら、監督やコーチのような役割も同時に担っています」
自分一人だけ速くなるなんて容易な事、自分一人の努力だけで完結するから。目指すのはチーム全員が速くなること、そう西木さんは話します。
「メンバー一人一人と向き合い、一緒に努力し、一緒に速くなりたいです」
キャプテンシーについてはこう語ってくれました。
「色んなキャプテンがいると思うんですけど、自分は誰よりも優れたパフォーマンスを発揮しながらチームをまとめていきたいと思っています。キャプテンである以上、誰よりも速くありたいし、誰よりも努力をするし、誰よりもみんなのことを考えていたい、というのがあるんです。全部を持っている人、簡単ではありませんが、それがキャプテンというもので、そうありたいと思っています」
チームメンバーの一人に下家悟さんがいます。下家さんは、2021年の奥信濃100(長野県で開催されたトレイルランニングレース)において、多くのトップトレイルランナーが出場する中、優勝を飾っています。
下家さんが優勝された時の、西木さんのインスタグラムへの投稿文がとても熱く、素敵な文章で、ぜひ読んでみていただきたく、了解をいただきましたのでここに再掲致します。
【悟がこの1年、トレイルにほぼ行かずロードでぶっ倒れるまで、走って、走って、走って。そして今回の圧倒的下克上。何度も何度も俺にヤジられて、たくさん喧嘩して(笑)、 それでも言葉じゃなくて、結果で跳ね返して来た悟。いつしか家族以上の絆を感じて、だからこそこの結果を受け、誰よりもこの結果が嬉しくて、嬉しくて。ゴール後、誰よりも早く電話かけて来てくれて『コージさんのお陰です』の一言で涙】
西木さんから感じるのはやさしさです。
日々ストイックに自分を追い込み、チームも追い込む。記録向上のためには厳しい言葉をチームメイトに投げかけることも多々あると想像します。でも心の底にはやさしさがある。ふとした瞬間に、ふと笑みがこぼれるような瞬間の西木さんの目はとてもやさしく印象的です。
チームとしての共通の目的はもちろんあるのですが、西木さんの心根のやさしさにメンバーが惹かれ、共に練習されているのではないかと思っています。
最後に、生活していくうえで大事にしている言葉や心構えなどあったら教えてください、と聞くとこんな風に答えてくれました。
「『やらずに後悔するよりやって後悔したほうがいい』ですね。石橋を叩きながらもやりたいことはとりあえずやってみる。それでダメだったら仕方ない、人生一度きりですから、家族や仲間に迷惑掛かること以外はチャレンジしてみたいです」
チームと共にチャレンジを続ける西木さんのお話しでした。
Profile
西木浩司さん
福井県出身。ファッション関連の会社で営業職として働きながら、陸上未経験者最速を目指しトレーニングを続ける。メンバー全員がフルマラソンで2時間35分を切ることを目標とするチームnrc代表