考える人。走る人。
身体と対話しながら足音に耳を傾ける。

FUJIさん

FUJIさんは、インタビューの途中で何度か、少し立ち止まって考えます。考えてから言葉を紡いでいきます。その姿からは言葉を大切にする感じ、何事にも正しく向き合おうとする感じ、が伝わります。


FUJIさんは東京の商社で働いています。旅行商品を扱う新規事業の仕事と、バックオフィスでの仕事の両方をこなしています。切り開いていく力が必要な新規事業の仕事と、周りの人たちを支えるバックオフィスの仕事。得意不得意があるといいながら、自身の考える力、向き合う力を使って両方と上手に付き合っている様子が伺えます。


そんなFUJIさんが現在の趣味としているのが、ランニングです。


ランニングの楽しみ方

FUJIさんがランニングを始めたきっかけは、他のスポーツのトレーニングのためとのことでした。その後、走ることの喜びを知り、今ではランニングがメインの趣味となっています。


最初の頃はレースでの達成感や、タイムなど自身のパフォーマンスの向上が喜びとなりランニングに取り組んでいたとのことです。それが、最近少し意識が変わってきました。大きな大会の開催なども不透明な中、より純粋に走ること自体を楽しむにようになってきているとのことです。脳からの指令に身体が正しく反応するかどうか。正しくリズムが取れているかどうか。

自分と対話しながら、自分の思い通りに身体を動かせる感覚に喜びを感じるとのこと。自分の足音を聞くことで自分の走りの良し悪しを測ります。「今日はうまく足を運べているな、足音を聞いていることが楽しいな。」そんな風に思いながら。


弓道とランニング

FUJIさんはいくつかのスポーツをこれまでに経験してきましたが、その中でも弓道はランニングに通じるところがあると言います。「相手がいないところがまず共通点。」「筋肉や骨を意識しながら体を動かしていくところが面白いところでもあり、難しいところでもある。」


強い弓、重い弓を使うと、フィジカルの強さで乗り切れるところがある、でも自分は比較的軽い弓が好みだったとFUJIさんは話します。軽い弓では、正しく的に当てるためにより正確な動き、計算された動きが求められます。ランニングも同じだとFUJIさんは考えています。


「ランニングも肩甲骨の動きを下半身に伝える、など見えない部分をいかにうまくコントロールするかが大切だと思うんです。」強い筋肉を作り上げるよりも、より正しい動きから導き出されるランニングがしたい、理にかなった動きがしたいと語ります。


タイムとトレイルランニングと

ランニングにおける今後の取り組みを聞いたところ、2つの答えが返ってきました。1つは正しい動きが行きつくところのパフォーマンスの向上、具体的なタイムの向上です。現在FUJIさんはフルマラソンでの3時間15分切りを達成し、3時間切りを目標として、トレーニングを行っています。


そしてもう一つの取り組みがトレイルランニング。トレイルランニングの魅力をこんな風に語ってくれました。「五感をすごく使う、それが新鮮。音、木や土の匂い、路面状況が異なることで触感もつかう。それがとても楽しいです。」「トレイルランニングを通して、自然の中で身体を動かすことの楽しさに再会できました。感謝しています。」


最後に、普段から大切にしていることを教えてほしい、と聞くと、こんな風に答えてくれました。「ありがとう、という気持ちに気づくこと。そして言葉に発することです。」


自分の気持ちを知り、それを言葉に発する。仕事にもランニングにも正しく向き合って、対話を重ねる。そして自分の答えを導き出す。FUJIさんの、曲がらない軸を持つ、そんな捉え方がとても素敵でした。


Profile

FUJIさん

京都府木津川市出身 商社勤務 これまでに経験したスポーツは、ランニングの他に、剣道、弓道、バスケットボール、バドミントン、スノーボード、ダイビングと多数