トレイルを拓き人生を拓く、
地域と世代をつなぐ。

マウンテンランナー 宮地藤雄さん

宮地さんは山を走り、世界を走り、そして走ることを自分のライフワークとして人生を走っています。走ることで自分自身を形づくり、そして次世代にランニングの楽しさとランニングが生み出す力を伝えていきます。走ることの魅力について宮地さんはこう話します。「走っているからこそたどりつける景色がある。その一期一会の部分に僕は最も走る楽しさを感じます。」


ランニングと出会い、楽しさを知る

宮地さんは、子供のころ必ずしも運動が得意ではなかったと言います。小学生の頃は体育の時間になるのが嫌で実際にお腹が痛くなるタイプの人間だったと。そんな宮地さんですが、成長するにつれ運動との付き合い方も徐々に学んでいきます。そして大学での教育実習時に走ることの楽しさに目覚めます。コツコツと続けていくことで自身のパフォーマンスが上がっていく、次第にアクティビティとしてのランニングに魅力を感じていきます。そんな中トレイルランニングの存在を知り、これこそが自身が人生を通してやるべき活動だと確信します。

「走ることは僕の生きる上でのベースとなっています。様々な人との出会い、自分の生きる糧もすべてランニングからきています。」


マウンテンランナー日本代表で得た価値観

宮地さんはWorld Mountain Running Association(WMRA、国際マウンテンランニング連盟)が主催するマウンテンランニング世界選手権に、日本代表として2013年から6年間参加し、他国の代表選手とレースを走ってきました。WMRAは1984年に始まった歴史のあるマウンテンランニングの組織です。マウンテンランニングの魅力を世界に伝え、また世界選手権のシリーズ戦を主宰しています。宮地さんは、組織の趣旨に賛同し、選手代表として連盟の選手員会のメンバーとしての活動も行っています。こういった経験により、大きな視点を持ってローカルの大会やイベントを運営できることが宮地さんの魅力の一つになっています。

国際マウンテンランニング連盟の魅力の1つとして、アクティビティに対する基本的な姿勢を宮地さんは取り上げます。「国際レースでありながらも、レースでの順位よりも先に本人がハッピーかどうかが問われる、自らのベストを尽くしたかが問われるんです。ハッピーであればそれでいいじゃないかと。それが最も大切な価値であると。」特にレースにおいては、試合に勝つという価値観が強い傾向にある日本において、このベストを尽くしたかが最も大切という価値を伝えていくことも、そんな素晴らしい国際大会を経験してきた自身の役目であると宮地さんは考えています。


地域をつなぐ、世代をつなぐ

宮地さんが現在行っている活動の1つに子供たちに向けたジュニアトレイルランのイベントやレースの開催があります。これまでの活動から得たものを若い世代に伝えていくために精力的に活動を行っています。そしていつも心がけているのは、いかに地域に貢献できるか、であると宮地さんは語ります。例えば、逗子でのジュニアトレイルランイベントの開催場所である神武寺にあるハイキングコースもチームで整備をし、道標も自分たちで手作りしていています。地域に貢献し、周りのみんなから信頼してもらう、そしてそういった活動を含めて若い世代と経験を共有していく。こういった流れがランニングやトレイルランニングが文化として根付いていく元になると宮地さんは考えています。手作りの道標を見てジュニアトレイルランに参加した子供たちが嬉しそうにしている、と宮地さんは嬉しそうに語ってくれました。「運動が苦手だった僕が走ることと出会って、スポーツが好きになった。競技の勝ち負けではないところに楽しさがある、そういう価値観があるということを伝えたい」


行政などに頼るのではなく、地域と共に若い世代を育てていく姿は今こそ目指すべきものとして美しく見えます。宮地さんの大切にしている言葉に【強く望めば何でもかなう= Everything`s possible if you wish hard enough】があります。これからも強い気持ちで、地域や世代を横断し、ランニング、トレイルランニングシーンを豊かにしてくれることと思います。


Profile

宮地 藤雄さん

トレイルランナー・マウンテンランナー(2013~2019マウンテンランニング日本代表) / FUJIO PROJECT、逗子トレイルランニング協会代表、RUNNING ZUSHI主宰 / 国際マウンテンランニング連盟(WMRA)選手委員会(ATHLETE COMMISSION)メンバー